Nikonから新しいフルサイズミラーレスカメラ「Z5IIC」が日本でも正式発表されました。2026年10月23日発売予定で、予約販売は10月2日10時から開始されます。
Z5IICという名前を見ると、最初に気になるのが2025年に発売された「Z5II」と何が違うのかという部分です。
名前もかなり似ていますし、どちらも約2450万画素のフルサイズセンサーとEXPEED 7を搭載。ボディー内手ブレ補正、高速連写、4K 60p、N-RAWなどにも対応しているため、スペックだけをざっと見ると「ほとんど同じカメラなのでは?」と思うかもしれません。
実際、NikonもZ5IICについて、Z5IIと同等の性能を持ちながら、初めてカメラを使う人でも簡単に表現を楽しめるモデルと説明しています。
つまり、この2台の大きな違いは画質ではありません。
Z5IIはファインダーを覗きながら写真をしっかり撮りたい人向け。Z5IICはスマートフォンのように背面モニターを見ながら、写真やVLOGを気軽に楽しみたい人向けです。
今回はZ5IICとZ5IIを比較しながら、どこが違うのか、そしてどちらを選べばいいのかを整理していきます。
- Z5IICとZ5IIは基本となる画質性能がかなり近い
- 一番大きな違いはファインダーの有無
- ファインダーをなくしたことでZ5IICは高さと重量を抑えている
- 背面モニターはむしろZ5IIの方が高精細
- Z5IICには初心者向けのシーンモードが追加された
- Z5IIはカメラを自分で操作していきたい人向け
- イメージングレシピはどちらでも楽しめる
- AFはかなり近いがZ5IICでは「魚」も追加
- 動画性能はかなり近い
- 写真撮影ではZ5IIのダブルスロットが大きい
- Z5IIはバッテリーパックにも対応
- Z5IICはブラックとシルバーから選べる
- Z5IICはどんな人に向いている?
- Z5IIはどんな人に向いている?
- 初心者だからZ5IICとは限らない
- まとめ:画質ではなく「カメラの使い方」で選びたい2台
Z5IICとZ5IIは基本となる画質性能がかなり近い
まず最初に押さえておきたいのが、Z5IICはZ5IIから画質性能を大幅に落とした廉価版ではないということです。
どちらも35.9×23.9mmのフルサイズCMOSセンサーを搭載し、有効画素数は約2450万画素。画像処理エンジンにはEXPEED 7を採用しています。
ボディー内には5軸手ブレ補正を搭載し、高感度側もISO 64000まで対応。高速連写では約14コマ/秒、ハイスピードフレームキャプチャー+では最大30コマ/秒まで撮影できます。
動画も4K 60pやフルHD 120pに対応し、さらにH.265 10bitやN-Log、N-RAWまで使えるため、動画を始めたばかりの人だけでなく、本格的な編集へ進みたい人にも対応できる性能を持っています。
そのため、「Z5IICは初心者向けだから写真が大きく劣る」という考え方ではありません。
むしろ同じクラスの画質やAF性能を使いながら、カメラ本体の使い方を変えたモデルと考えた方が分かりやすいです。
一番大きな違いはファインダーの有無


2台を見比べて一番分かりやすい違いが電子ビューファインダーです。
Z5IIには約369万ドットの電子ビューファインダーが搭載されています。カメラを顔の前まで持ってきて、ファインダーを覗きながら構図を決めるという、一般的なミラーレスカメラらしい撮影ができます。
一方のZ5IICにはファインダーがありません。
基本的には3.2型のバリアングルモニターを見ながら写真や動画を撮ります。
ここが、この2台を選ぶ時に一番重要なポイントだと思います。
昔からカメラを使っている人なら、晴れた屋外や望遠撮影ではファインダーが欲しくなる場面が多いです。特に野鳥、飛行機、鉄道、スポーツなどで動いている被写体を追う場合は、カメラを顔に固定しながらファインダーで追いかけた方が撮影しやすくなります。
反対に、普段スマートフォンで撮影している人の場合は、ファインダーを覗くこと自体に慣れていないこともあります。
スマートフォンと同じように画面を見ながら人物や料理、旅行先の景色を撮り、そのまま動画も撮影する。そういう使い方なら、Z5IICの方が自然に感じる人も多いと思います。
ファインダーをなくしたことでZ5IICは高さと重量を抑えている

ファインダーをなくしたメリットは撮影スタイルだけではありません。
Z5IIは約134×100.5×72mmなのに対して、Z5IICは約134×80.5×72mm。横幅と奥行きはほぼ同じですが、高さが約20mm低くなっています。
重量もバッテリーとメモリーカードを含めて、Z5IIが約700gなのに対してZ5IICは約620gです。
80gの差だけを見るとそこまで大きく感じないかもしれませんが、ファインダー部分の出っ張りがなくなったことでカメラ上部がかなりフラットになっています。
旅行や日常でバッグに入れる場合、この形状の違いは意外と大きいと思います。
大きなカメラバッグではなく、普段使っているバッグからさっと取り出して撮る。そういう使い方を考えると、Z5IICのフラットなデザインにはしっかり意味があります。
背面モニターはむしろZ5IIの方が高精細

Z5IICはモニター中心で撮影するカメラなので、「背面モニターもZ5IIより高性能なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、ここは逆です。
どちらも3.2型のバリアングル液晶を搭載していますが、Z5IIは約210万ドット、Z5IICは約104万ドットです。
Z5IICでも構図確認やタッチ操作には十分使えますが、写真のピントや細部を背面モニターでしっかり確認したいならZ5IIの方が高精細です。
Z5IIにはさらに約369万ドットのEVFもあるため、「撮影した写真をその場で細かく確認する」という部分ではZ5IIの方が本格的な作りになっています。
Z5IICはモニターの解像度そのものを追求するというより、スマートフォンのような直感的なタッチ操作を重視したモデルだと考えた方がよさそうです。
Z5IICには初心者向けのシーンモードが追加された

Z5IICならではの大きな特徴がシーンモードです。
Nikonのフルサイズミラーレスとして初めてモードダイヤルにSCNを搭載し、ポートレート、風景、子ども、スポーツ、クローズアップ、夜景、ペット、料理、桜、紅葉など15種類のシーンから撮りたいものを選べます。
これはカメラ初心者にとってかなり分かりやすい機能です。
初めてミラーレスカメラを買うと、F値、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランスなど、いきなり覚えることがかなりあります。
もちろん、写真を続けるなら少しずつ覚えていった方が楽しいです。
ただ、カメラを買った初日から全部理解する必要はありません。
Z5IICなら「今日は料理を撮るから料理モード」「旅行先の夕方ならトワイライト」というように、撮りたいものを選ぶところから始められます。
まずはシャッターを押して写真を撮る楽しさを感じて、そこからAモードやMモードを覚えていく。
Z5IICはその入口をかなり分かりやすくしています。
Z5IIはカメラを自分で操作していきたい人向け

Z5IIにはZ5IICのようなSCNモードはありません。
基本的にはAUTOからP、S、A、Mといった一般的なカメラの撮影モードを使っていきます。
そのため、初めて触った時の分かりやすさではZ5IICが有利です。
ただし、これはZ5IIが初心者に向いていないという意味ではありません。
Z5IIもAUTOモードが使えますし、イメージングレシピにも対応しています。最初はAUTOで撮りながら、少しずつ絞りやシャッタースピードを覚えていくことはできます。
むしろ「これから写真を趣味としてしっかり勉強していきたい」「ファインダーを使ってカメラらしい撮影をしたい」という人なら、最初からZ5IIを選んでもいいと思います。
イメージングレシピはどちらでも楽しめる
Z5IICで大きく紹介されているイメージングレシピですが、この機能自体はZ5IIでも利用できます。
Nikon Imaging Cloudからクリエイターなどが作成した画作りをカメラへ登録できるので、撮影後に毎回細かく編集しなくても、自分好みの雰囲気で撮影できます。
最近のカメラでは、この「撮って出しの色」がかなり重要になっています。
スマートフォンでは撮影後すぐにSNSへ投稿することが当たり前になっています。その感覚でミラーレスカメラを使いたい場合、毎回RAW現像するのは少し面倒です。
イメージングレシピを使えば、最初から自分の好きな色や雰囲気に寄せて撮れるため、Instagramなどへ投稿する用途とも相性が良いです。
ただ、Z5IICにはイメージングレシピをすぐ呼び出せる専用ボタンがあり、この機能を初心者でも積極的に使ってもらおうという意図がより強く感じられます。
AFはかなり近いがZ5IICでは「魚」も追加
AF性能についても基本的にはかなり近いです。
EXPEED 7による被写体検出や3Dトラッキングなどを利用できるため、人物だけでなく動物や鳥、車、バイク、列車、飛行機といった被写体もカメラ側で認識できます。
Z5IIでは被写体検出が9種類なのに対して、新しいZ5IICでは新たに「魚」が追加され、10種類となっています。
水族館などで魚を撮影する機会が多い人には少し面白い違いです。
ただ、通常の人物撮影やペット、旅行などで使うのであれば、AF性能だけを理由にZ5IIからZ5IICへ移行するような差ではありません。
Z5IICのAF面での進化というより、対応する被写体が一つ増えたと考える方が自然です。
動画性能はかなり近い
動画性能は2台ともかなり充実しています。
4K UHD 60p、フルHD 120p、H.265 10bit、N-Log、N-RAWなどに対応しています。4K 60p撮影ではどちらもDXフォーマットへクロップされます。
つまり、基本的な記録性能だけを見るとZ5IICが動画専用機として大幅に強化されたわけではありません。
ただ、実際に1人で動画を撮る場合はZ5IICの方が使いやすい部分があります。
Z5IICには本体前面にRECランプがあり、録画開始時には背面モニターにも赤い枠が表示されます。
自撮りVLOGでは、「ちゃんと録画が始まっているのか」が意外と気になります。
Z5IICならカメラの前に立った状態でも録画状況を確認しやすいので、旅行VLOG、YouTube、Instagram用の動画などを1人で撮る場合には便利です。
さらに商品レビューモードも用意されているため、カメラの前に商品を出して紹介するような動画も撮りやすくなっています。
Z5IIも動画性能自体は高いですが、Z5IICの方が「1人で気軽に動画を撮る」という使い方へ寄せられています。
写真撮影ではZ5IIのダブルスロットが大きい
本格的に写真を撮る場合に大きな差になるのが、メモリーカードです。
Z5IIはUHS-II対応SDカードのダブルスロットを搭載しています。
2枚のSDカードへ同時に保存してバックアップを取ったり、1枚目がいっぱいになったら2枚目へ記録したり、RAWとJPEGを分けて保存したりできます。
普段の旅行や家族写真では、SDカード1枚でも大きく困ることは少ないと思います。
しかし、結婚式、イベント、仕事撮影など、「絶対にデータを失いたくない」という撮影ではダブルスロットの安心感がかなり大きいです。
Z5IICは公式仕様上、Z5IIにあるダブルスロット機能を備えていません。
この部分を見ても、Z5IIは本格的な写真撮影まで考えた設計、Z5IICは日常や旅行、SNS、VLOGを気軽に楽しむ方向へ寄せた設計という違いが分かります。
Z5IIはバッテリーパックにも対応

もう一つ本格撮影で差が出るのが拡張性です。
Z5IIは別売のパワーバッテリーパックに対応しています。
長時間の撮影や縦位置撮影が多い場合、バッテリーパックを装着して運用できるのはメリットです。
Z5IICもZ5IIと同じEN-EL15cバッテリーを使用するため、通常使用でのバッテリー性能に大きな違いはありません。
ただし、長時間のイベントや仕事撮影などまで考えると、拡張性の高いZ5IIの方が対応しやすくなっています。
ここも、日常用途を重視するZ5IICと本格撮影まで対応するZ5IIの性格の違いが出ています。
Z5IICはブラックとシルバーから選べる

Z5IICにはブラックだけでなく、シルバーも用意されています。
これは性能には直接関係ありませんが、今回のカメラを考えるうえでは意外と重要だと思います。
Z5IIはかなりカメラらしいデザインですが、Z5IICはファインダーをなくしたフラットトップデザインに加えて、シルバーカラーも選べます。
性能だけでなく、「旅行に持っていきたい」「服装やバッグに合わせたい」「見た目が気に入ったカメラを持ちたい」というユーザーもかなり意識しているように感じます。
最近はカメラを撮影機材としてだけでなく、普段持ち歩くアイテムとして選ぶ人も増えています。
Z5IICのデザインは、まさにそういう層を狙ったものだと思います。
Z5IICはどんな人に向いている?
Z5IICが向いているのは、これまでスマートフォンを中心に写真や動画を撮っていて、初めて本格的なミラーレスカメラを買う人です。
ファインダーを覗く撮影にはこだわらず、旅行や家族、友達、カフェ、ペットなどを背面モニターで気軽に撮りたい。さらにInstagramやYouTube用の動画、VLOGにも挑戦したい。
そういう使い方なら、Z5IICはかなり分かりやすいです。
フルサイズセンサーなので、スマートフォンとの違いも感じやすく、背景をぼかした人物写真や夜景などにも挑戦できます。
シーンモードやAUTOから始められるため、最初から難しいカメラ設定を覚える必要もありません。
「スマホから初めてカメラへ」という人には、かなり明確な選択肢です。
Z5IIはどんな人に向いている?
Z5IIは、最初から写真をしっかり楽しみたい人に向いています。
ファインダーを覗いて撮りたい。望遠レンズでスポーツや野鳥、飛行機を追いたい。将来的には仕事やイベント撮影にも使ってみたい。SDカードを2枚使ってデータをバックアップしたい。
こういった使い方ならZ5IIの方が安心です。
特にファインダーの有無はかなり大きいです。
最初は背面モニターだけで問題ないと思っていても、写真を続けていくとファインダーが欲しくなることがあります。
晴天の屋外や望遠撮影ではファインダーがかなり便利なので、写真をメインに長く使っていきたいならZ5IIを選ぶ意味があります。
初心者だからZ5IICとは限らない
今回の2台で注意したいのは、「初心者ならZ5IIC、中級者ならZ5II」と単純に分けないことです。
Z5IICは初心者でも扱いやすいように作られていますが、中身は約2450万画素フルサイズ、EXPEED 7、強力な手ブレ補正、高性能AF、N-RAWまで搭載した本格的なカメラです。
逆にZ5IIもAUTOモードを使えば初心者から普通に撮影できます。
重要なのは、自分がどのように撮りたいのかです。
スマートフォンの延長で画面を見ながら気軽に撮るならZ5IIC。
ファインダーを使ってカメラらしく写真を撮るならZ5II。
この違いで選ぶ方が分かりやすいと思います。
まとめ:画質ではなく「カメラの使い方」で選びたい2台
Nikon Z5IICとZ5IIは、名前が非常に似ています。
しかも約2450万画素のフルサイズセンサー、EXPEED 7、ボディー内手ブレ補正、高速連写、4K 60p、N-RAWなど、中核となる性能もかなり共通しています。
そのため、この2台は単純なスペック比較だけでは選びにくいです。
一番大きい違いは、やはりファインダーです。
Z5IIには約369万ドットのEVFがあり、ファインダーを覗きながら写真をしっかり撮れます。背面モニターも約210万ドットと高精細で、SDカードのダブルスロットやバッテリーパックへの対応など、本格的に写真を撮るための装備も充実しています。
一方のZ5IICはファインダーを省き、背面モニター中心の撮影スタイルにすることで、ボディーを約620gまで軽量化。シーンモード、RECランプ、商品レビューモードなども追加し、初めてのカメラやVLOG用途をより強く意識しています。
スマートフォンから初めてフルサイズカメラへ移行する人や、旅行、家族写真、Instagram、VLOGなどを気軽に楽しみたいならZ5IIC。
ファインダーを使って写真をじっくり楽しみたい人や、野鳥、スポーツ、イベント、将来的な仕事撮影まで考えているならZ5II。
この分け方が一番分かりやすいと思います。
Z5IICはZ5IIの単純な廉価版ではありません。
基本性能はかなり近いまま、カメラを初めて使う人がより入りやすい形へ作り直したモデルです。
だからこそ、購入前には価格差だけを見るのではなく、「自分はファインダーを使いたいのか」「写真中心なのか、それともVLOGやSNS動画も撮りたいのか」を考えて選ぶのがおすすめです。
なお、本記事で使用しているZ5IICおよびZ5IIの仕様、発売情報、機能に関する情報は、Nikon公式ホームページおよびNikon公式発表ページを参照しています。
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